100人力ネットワーク背景画像 100人力ネットワーク背景画像

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2010年度 第1回 教育・学習成果発表会

 2010年度、第1回目となる教育GP成果発表会(現 教育・学習成果発表会)を、2010年10月2日(土)、 新潟市の「チサンホテル&コンファレンスセンター新潟」にて開催いたしました。100人力ネットワークの会議では、 大川工学部長、田邊工学力教育センター長から工学教育がおかれている現状と最近の学生気質、 それに対して大学がどのような取組を行っているのかが説明されました。 それに続き、100人力 ネットワークの幹事である平石様に「工学力のデザインを再読して」という内容でご講演をいただきました。
 午後の発表会では、山際教育GP部門長から教育GP全体の取組説明がなされ、その後、各学科の具体的な 内容が発表されました。その後、マーケット・インターンシップ、創造プロジェクト(現ものづくりプロジェクト)の 発表も行われました。引き続き行われたキャリアデザイン・ワークショップではマーケット・インターンシップ、 創造プロジェクトのグループに加え、各学科の教員と100人力ネットワークの 方々でデザイン科目の改善について 話し合われました。その中では、大学教員と企業が考える学生の問題点の相違や、工学リテラシー入門を通して どのように学生を成長させるのか といったテーマについて、活発な意見が交わされました。


100人力アンケート集計結果

「デザイン科目改善成果」の発表内容とキャリアデザイン・ワークショップの討論の結果から、工学力教育が企業のニーズに応えているかどうかについて率直な意見をお書き下さい。
  • 着実に推進していて、効果を発揮していると考えます。ただ、技術者としては、作る工程でかならず品質のバラツキが発生すること、設計・製作の視点だけでは、できたものの品質の問題点を全部みつけることはできず、それとまったく違った視点でのチェックが必要であることについてもっと学生に考えさせるようにしていただきたいと思います。
  • 学生のベンチャー精神を上げる教育であれば、企業人を呼んで開発の話を聞かせることが必要であると思います。
  • 年々改善工夫(指導の仕方)されており、自発性、創造力育成の面で、ニーズに応えていると思います。今後は、定量的な成果評価がなされ、次につなげていただければと思います。
  • 応えていると思います。しかし、その実施に問題があると思います。具体的には、参加する学生と不参加の学生との格差、卒業研究に対する姿勢の違い、テーマ設定の難しさ(毎年同じテーマでもいいのではないでしょうか)。
  • 多方面にわたり取組んでいる事がエンジニアの基本的考えに集約されていくと考えます。

創造プロジェクト、マーケット・インターンシップ、テクノロジー・インターンシップについて、企業の側から見た場合の課題・問題解決の着眼点とは
  • 課題・問題を多角的視点から明確化すれば半分は解決したかと思います。つまり、それが最も大切だということです。
  • 問題を明確にすることができれば解決したのも同然です。
  • マーケットニーズ(ユーザーニーズ)を満たしていない点を、課題として捉えます。それらの課題解決には、既存技術の応用で解決できるか、新規技術がどれ位必要か、新技術は他から導入できるか、自社開発かなど問題解決の可能性を踏まえ検討する必要があります。また、マーケットの対象をどう絞るかが重要(狭すぎると問題解決しやすいが成果は小さい、広すぎると問題解決が難しく成果が実現しないリスクがある)です。
  • 目的をメンバー全員が理解・共有し、高い目標を掲げ(これはリーダーの職務でもあるが)、進捗を適宜確認しながらゴールを目指します。
  • 目標を明確に設定して、論点を整理します。その上で具体的な作業に入ります。勿論、手戻りも十分ありえます。
  • どのようにしたら目標を達成できるか。その思考過程の中で問題解決の糸口が見えてきます。
  • 課題の共有化・方向合わせ・報連相を徹底します。
  • まず課題、問題点の内容を明確にします。今回のテーマのような例では、お客様の要望や意見をきちんと聞いて検討します。課題・問題が解決したかどうかは、設計的視点だけでなく、検査的な視点でも行うようにします。

創造プロジェクト、マーケット・インターンシップ、テクノロジー・インターンシップについて、企業におけるプロセスの評価ポイントとは
  • 必要な計画をきちんと立てそれを着実に実行したか、不具合が発生した場合それをきとんと解決したかがポイントです。
  • PDCAサイクルが適切にまわっているか、成果に結びついているかで評価します。
  • 完成できればよい。未完成のまま終わらせない。その結果が悪くてもあとで生きてきます。
  • どれだけの広さの選択肢の中から目的に合致した選択肢をどう選んだか(場合によっては目的の変更も、合理的ならプラス評価できる)。その選択肢実現のためにどれだけ新しいアイデア・技術が含まれているか、その環境をどう整えたかのプロセスがあると素晴らしい。しかし何れも所定以上の成果を挙げた上での評価になります。
  • 取組みの深さと、どれだけ「なぜなぜ?」を繰り返しているか
  • 各段階におけるレビューによって評価します。

100人力ネットワークの在り方について
  • 100人力ネットワークの現在のメンバー構成がわかりませんが、現場で活躍中の35才~45才くらいの人を多勢にして、いろいろなことに参加していただくようにしていただきたいと思います。
  • 企業のニーズに答える人材育成を目指すなら、もっと多くの先生がもっと企業のニーズをひろう交流が必要であると思います。
  • 非常に良い取組みと思いますが、参加者が減っているのが残念です。
  • 学生の皆さんとネットワークメンバーが語り合う場・時間が少ないです。ネットワークメンバーにとって学生の皆さんの役に立っている実感がわくような機会を増やして欲しい。
  • 大学教授と企業人とで大学教育のあり方を議論する場を作ってはどうかと思います。厳しい意見が少ないと思います。
  • 専門性だけでなく、その根底の考え方や経験をもっと利用されたら、と考えます。
  • 20代、30代の若手をもっとメンバーに入れた方が良いと思います。
  • 100人力ネットワークの在り方は現在のままで良いと思いますが、100人力のメンバーと教員の方々とのコミュニケーションの場があっても良いと思います。

将来に向けて、今後の工学力教育にたいする建設的なご意見
  • グローバル人材、新しいビジネスモデルを創出する人材を育成する上で、その基礎能力のトレーニングを期待します。
  • 参加者を全学生に広げないと効果は薄いのではないか。あまりに参加者が少ないのは問題です。
  • 高いレベルの学生にはさらに高い目標を与えてやるべきと思います。
  • 製作物の仕様書作成の重要性を教えて下さい。
  • 「つもり学習」と言う言葉を聞いて自分が学生時代と社会人になりたての頃をふりかえって、つくづくその通りだと思いました。机上で勉強していただけでは身につきません。自分の手で実際に作ってみる事がとても重要だと思います。
  • 専攻学科以外の他学科の基本的科目の習得を奨励します。また、知識と実地のギャップを意識させるキャリアデザインワークショップの活動の強化、特に同一テーマを反復実施させ、PDCAサイクルを回すことでもう一段のレベルアップを図ってほしい。
  • グローバリゼーションの中で、どのような技術者を育てるかが重要。単なるテクニシャンか、付加価値を作る技術者か。
  • 自立・自助・自動のドライビングフォースとなる興味や「なぜ?」との問い掛けを育んでください。
  • 子供達に工学の大切さやものづくりの魅力を伝えられるようにしたい。学生達が夢を持ち、その夢を実現するために学習・研究する方向へもっていきたい。

学生アンケート集計結果

  • 100人力ネットワークの方々と非常に有意義な討論ができて良かった。討論の中で新たな発見や学ぶことが多くあった。
  • 就職してから、どんなことをやってきたかなどをより詳しく聞きたかった。キャリアデザイン・ワークショップの時間が短すぎて、この時間では質問できなかった。
  • 学生のみだと固まった見方しか出来ないので、業界を見て培った多角的な見方からくる意見は貴重だと思った。やはり経験をしてきた人の話は面白い。
  • 技術を後輩に伝えていくことの大切さが分りました。
  • 対話をする人もいれば、対話に参加しない人もいたので全員が参加できるような場にして欲しい。
  • 専門が異なっていたが、チームとしての行動の仕方やプロジェクトに取組む際の心構えなど、非常にためになる助言を頂けた。抱えていた問題の解決方法がみつかった。

2010年度 第2回 教育・学習成果発表会

 2011年2月19日(土)と2月20日(日)の二日間にわたり、新潟市のチサンホテル&カンファレンス(第一日目)と 新潟大学駅南キャンパス“ときめいと”(第二日目)を会場にして「2010年度第二回教育GP成果発表会(現 教育・学習成果発表会)」 を開催しました。 今年度で文部科学省からの経費支援が終了することから、成果を総括する節目の年度という観点から 発表会が企画されました。
 第一日目は先ず、「工学リテラシー入門」や「卒業研修」、各学科の既存開講科目である実験、実習、演習科目 (いわゆるデザイン科目)の実施状況とその効果について田邊工学力教育センター長から説明がありました。 学生からは「創造プロジェクト(現ものづくりプロジェクト)」、「マーケット・インターンシップ」、 「テクノロジー・インターンシップ」の成果発表が行われました。そして、発表後に恒例となっている 「キャリアデザイン・ワークショップ」を行い、 学生の成果発表に対し100人力ネットワークのメンバーや教員を交えて、 活発な意見交換がされました。
 創造プロジェクトの受講者は、企業においてのものづくりがどのようなものであるか、 などを熱心に話し合っていました。「企業においてはものづくりと同時に技術伝承も非常に重要、このような活動を続け、 レベルアップしていくならば 技術を次にいかに伝えるかということを考えていかなければならない」 「設計に完璧はない。自分の作った製品を常に疑い続なさい。これで大丈夫と過信したときに事故を起こしてしまう」など、 実際に長年ものづくりに携わった経験から来る 貴重な意見を頂きました。 テクノロジー・インターンシップの受講者には「企業では自分の時間管理も重要だが、お客様への時間管理のほうがもっと大事。 すなわち納期や期限を守るために自分(自社)の時間管理を徹底する」など 普通の学生生活の中では意識しない 貴重な意見を頂きました。
 第二日目には、先ず「技術連携教育」の成果発表会が行われ、続いて「工学教育に関する研究会」と題して、 これまでの「創造プロジェクト」、「マーケット・インターンシップ」、「テクノロジー・インターンシップ」の 受講学生と100人力ネットワークのメンバーとが懇談する機会が設けられました。 受講して何を得たかについて一人一人の学生が意見を述べることから始まり、 挨拶できるということがコミュニケーションのきっかけとして重要である だけでなく、 その人の資質を端的に表すものであるとの指摘がありました。そして猪俣100人力ネットワーク代表幹事の発案により、 出席者全員が起立し、お礼の言葉を大きな声でかけあって研究会は終了しました。
 以上、二日にわたる成果発表会これまで新潟大学工学部が独自に進めてきた「工学力」教育を総括するに相応しい内容でした。 今後の「工学力」教育の発展が期待されます。




100人力アンケート集計結果

創造プロジェクト、マーケット・インターンシップ、テクノロジー・インターンシップについて、企業の側から見た場合の課題・問題解決の着眼点とは
  • プロセスの中で「デザイン」という部分が欠如してので是正が必要と思われます。
  • 目標に対するスケジュール管理が甘いと思います。
  • 幾つかに分担が分かれている境界領域の課題・問題解決をどうするかが、プロジェクトリーダーの手腕が一番問われる部分です。
  • 今から必要かどうかは別ですが、マネージングについて(組織の運営)勉強する必要があるように感じます。

創造プロジェクト、マーケット・インターンシップ、テクノロジー・インターンシップについて、企業におけるプロセスの評価ポイントとは
  • 期待した結果が得られなかった時の問題究明能力が企業では問われます。
  • (企業の中では)結果での評価が大部分を占めます。しかし、長いレンジでどういうプロセスを経ているかということも同時に見ています。
  • 結果のみで全ての評価が行われます。
  • 達成度で評価される。達成しなかった場合には、課題が明確になり解決方法を検討しているかどうかで評価される。

100人力ネットワークの在り方について
  • 類のない活動だと思うので継続して頂きたいが、100人力のメンバーが高齢のため、学生とのギャップがありすぎると感じる時があります。30代くらいのメンバーも必要ではないでしょうか。
  • 技術者だけでなく、営業に携わってきた方もメンバーに加えて、広く企業活動から見てアドバイスを受けてはどうでしょうか。
  • 個別プロジェクトへの関わり方をもう一度検討する必要があると思います。
  • 実現は難しいと思うが、学生にとって見れは、はじめ→途中→終わり、の各ポイントで100人力メンバーと関わられたら良いと思います。

将来に向けて、今後の工学力教育にたいする建設的なご意見
  • どんな業務にも対応できる人の育成が重要です。工学は常に大きく進んでいます。その社会に積極的にチャレンジする人間性の育成が大切です。
  • 日本は「ものづくり」で生きるしかないと思うので、「ものづくり」の面白さを色々な切り口で伝えていく必要があると思います。
  • 工学の勉強を通して、技術習得よりは物の考え方、技術的な物事の進め方を身につけて応用力のある技術者を育成してほしいと思います。
  • 優良な中小企業のサクセスストーリーを学生にもっと知ってもらう機会が重要であると思います。教員も優良中小企業とのネットワーク作りをして欲しいです。工学教育にも企業経営の勉強は必要だと思います。
  • 自律性(モチベーションが高い)、創造性(協創=コラボレーション)に長けた人材作りに向けた基礎教育を期待します。
  • テクノロジー・インターンシップについて、受入側としては1ヶ月では”お客さん”としか扱えない。3ヶ月~半年間位のプログラムを検討してみてはどうでしょうか。
 

また、各プロジェクトについて「主体性」「課題解決能力」「実行力」「講義と演習が融合しているか」について 1.目標を達成した、2.一応達成したと認める、3.もう少しで達成できた、4.目標に達しなかった、の四択で評価をしていただいたところ 以下のような結果になりました。