スマートドミトリー背景画像 スマートドミトリー背景画像

スマートドミトリー スマートドミトリー

理数学生育成支援事業

 新潟大学工学部では、これまで様々な工学教育プログラムの開発に取り組んできました。 それらの多くはグループ活動を基本としていますが、これによりコミュニケーション能力の涵養のみならず、 製品開発のプロセスを自然と疑似体験することができ、通常の専門科目に対する勉学意欲の向上やキャリア形成のための 意識付けなどにつながることが分かってきました。特に、1つのテーマの下で継続的に活動しているグループでは、 上級生が下級生を指導し、技術の改善と伝承とが絶え間なく行われており、それが学生達による一つの教育環境を 形成しています。この仕組みが、研究・開発の場にまで展開されれば、高い勉学意欲を持つ学生に対して より高度な教育を早期に提供することができ、ひいては他の学生の学習意欲の向上にもつなげることが期待されるます。 そこで本取組では、学年・学科を横断した学生達による研究チームを構成し、参加学生が相互に啓発できる学生寮の様な場である 「スマート・ドミトリー」を整備し、それに基づく新たな教育プログラムを構築することを目的としました。 さらに、このプログラムを通して、高い研究能力と研究意欲および高度なリーダーシップを有し、 国際的に活躍できる秀でた学生「トップ・グラジュエイツ」を育成することを目的とします。
 学生が常に集まり、ディスカッションができるとともに、実験・研究が遂行できる場である「スマート・ドミトリー」を 整備し、参加学生は、そこで学年縦断型・学科横断型の少人数グループを形成し、活動を進めていきます。その活動を通じ、 技術、知識、研究力の下級生への伝承を行い、学生間の協力と相互啓発によって、より高い研究開発能力を有する人材を育成 することを目指します。また、このチーム活動ではポートフォリオなどを活用し、学生に後進を育てることの出来る高度な リーダーシップを涵養します。なお、本プログラムへの参加者は、学習成績や意欲と能力を評価して選抜を行います。

スマートドミトリーの概念図
スマートドミトリーの概念図

スマート・ドミトリー

  理数学生育成支援事業の内容に則り、新潟大学工学部では、1年生のうちから 研究活動に参加できる「スマート・ドミトリー」プログラムを実施しています。 このプログラムは、各研究プロジェクトに1年生のうちから配属させ、先輩や教職員の指導、 大学のカリキュラム等で専門科目を学びながら研究を行うのが特徴です。 本プログラムに参加を希望する学生は、問題発見・解決に対する意欲と能力と成績で毎年評価・選抜されます。 1年次には、先輩や教職員の指導の下で研究を行い、研究の仕方(研究基礎力)を身につけます(単位名:創造プロジェクト基礎)。 2年次には、研究を1人で進めていける能力(研究遂行能力)を身につけます(単位名:創造プロジェクトⅠ・Ⅱ)。 3年次には、ハイレベルな研究能力とともに後輩を指導できる高度なリーダーシップを習得することを目指します (単位名:創造研究プロジェクトⅠ・Ⅱ)。
 これら研究活動を軸としながら、「ファシリテータ講演」などでキャリア意識形成を行い、 成果発表会,英語発表会などを行いプレゼンテーション力なども養います。また,サイエンスインカレやFusion techなど, 学外での発表も行います。これら体系化された教育環境を通じて、最終的に以下のような学生の輩出を目指しています。

  • 1.旺盛な研究意欲と高い研究能力
  • 2.高度かつ広範囲な学力
  • 3.高いリーダーシップとコミュニケーション力
  • 4.国際的に活躍できる能力

 現在も様々な分野の研究が、このスマート・ドミトリーのプロジェクトの中で進められています。 現在進行中のプロジェクトは、スマート・ドミトリー特設サイトに掲載していますので 是非ご覧ください。



トップ・グラジュエイツ

 スマート・ドミトリーの全プログラムを終了し、かつ卒業要件を満たした上で、 優れた学業成績,語学力及び顕著な研究成果を有するものを優秀な卒業生(=トップ・グラジュエイツ)として、 新潟大学工学部が認定しています。トップ・グラジュエイツの認定基準は、以下の通りとなっています。

  • トップ・グラジュエイツの認定候補者は原則として,1年生の10月から4年生の3月までスマート・ドミトリーに所属した者とする。
  • トップ・グラジュエイツの認定候補者は原則として,創造プロジェクト基礎,創造プロジェクトⅠ・Ⅱ,創造研究プロジェクトⅠ・Ⅱ並びに卒業研究(建設学科にあっては,卒業研究又は設計)の単位を修得していなければならない。
  • トップ・グラジュエイツの認定は,学部4年次(終了時点)での学業成績,語学力及び研究活動の実績を総合的に評価して行うものとし,原則として,次の条件を満たした者について行う。
     (1) GPA3.5以上又は所属学科若しくはコースの成績上位10%以内
     (2) TOEIC600点以上,又は国際会議での口頭発表若しくはポスター発表の実績があること
     (3) 学術論文,学会発表などの研究活動の実績があること

 なかなか厳しい条件ですが、2014年度には4名、2015年度には6名、 2016年度には9名、2017年度には2名、2018年度には2名、2019年度には4名の学生が認定を受けました。 トップ・グラジュエイツの認定を受けた学生は、卒業後も社会で活躍しています。 皆さんも新潟大学工学部のこのプログラムに参加して優秀な研究者を目指しませんか?


外部での発表

 スマート・ドミトリーに所属していると、様々な大学外での発表の機会が与えられます。 その中でも代表的な2つの発表会を紹介します。

サイエンス・インカレ

 「サイエンス・インカレ」とは、学生の能力・研究意欲を高め、創造性豊かな科学技術人材を育成することを目的に、 自然科学分野を学ぶ全国の学生が自主研究の成果を発表し競い合う場として、毎年開かれている全国的な研究発表会です。 スマート・ドミトリーの各プロジェクトは、このサイエンス・インカレでの発表を目指します。 サイエンス・インカレでは、口頭発表の他にポスターセッションなども行われ、審査員の先生方や企業の方、 他大学の学生達と熱い議論を交わすこともでき、大いに勉強になるようです。
 第5回大会では、「汚泥灰からリンの回収と循環利用」【各協力企業・団体賞(NJS賞(日本上下水道設計株式会社))】を、 「電磁界共振結合方式ワイヤレス電力伝送」グループが【サイエンス・インカレ・コンソーシアム奨励賞】を受賞しました。 また第6回大会では、「汚泥灰からリンを回収する資源循環技術の開発」グループが【審査員特別賞】、 「人工湿地による廃水処理」グループが【サイエンス・インカレ・コンソーシアム奨励賞(グッドパフォーマンス賞)】 を受賞しました。


Fusion tech

 「Fusion Tech」は,東アジアの5大学(日本:新潟大学,韓国:仁荷大学,漢陽大学,中国:大連理工大学,ハルビン工業大学)の教職員,大学院生・学部生が一堂に会し 技術融合に関する国際シンポジウムです。各大学の研究成果を持ち寄り、それを融合し新たなイノベーションを模索しています。 基調講演や口頭発表、ポスターセッションなどが行われます。発表はすべて英語で行われ、スマート・ドミトリーからも 多くのプロジェクトが参加します。他国の教職員や学生と英語にて討論や会話を行い、レセプションにおいても積極的に交流を行います。