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工学力教育プログラムを語る

工学力教育センター4年目を迎えて

創造プロジェクト学生座談会

「技術連携プロジェクト」を語る

学生と100人力ネットワークメンバー討論会

対談
工学力教育プログラムを語る〜3大学担当者座談会から〜
「つくる力」:創造プロジェクト、アイディア巡回展
田邊  新潟大学では、学生が協働でものづくりをする、チームでつくるために、創造プロジェクトT、Uという科目を立ち上げました。 平成16年の終わりのことです。学生を集めて説明したところ、5つのプロジェクトが自然に立ち上がりました。 学生が実際にものづくりに向かっているのを目のあたりにして、「これはやれるぞ」と思いましたね。その年のアイディア展に出展した作品は 「学生が自主的にやったんだ」と胸を張って言える作品になりました。
長谷川  富山大学には平成9年より学科毎にものづくり科目がありました。ですから、ものづくりを通して工学力を鍛え上げるという風潮はその当時からあったわけですね。 しかし、特色GPの取り組みが平成15年に始まり、平成16年度に、やはり作品を作るためにはカリキュラムをしっかりしておかなければいけないだろうということで、 創造工学特別実習という、学科・学年横断型で、自由にものづくりができる科目を正規の授業科目として立ち上げました。その中でアイディア発想法、プレゼンテーション法の講義をしています。
升方  実は1単位ということもあって、ちょっと学生に敬遠されてきた感じがしています。単位がなくても自分たちのやりたいことができたら楽しいじゃないのというくらいの学生が 集まってくれるということを期待していたんですけれども、なかなかそうはいかないということがありますね。このままではいかんのかなと思っています。
茂地  長崎大学では平成18年4月から創成プロジェクトという科目を正式に立ち上げました。大学の学士課程でのものづくりはやはり本物までは無理で、 トレーニングのような形になるのではないかと考えいます。ですから、アイディアを主体とした形で自由に作ってもらい、学生ものづくり・アイディア展と 連動した形で創成プロジェクトを位置づけています。基本的には、まずはアイディアを出させて、学生がどこまでできるかというようなところを4年間で 見極めたというような感じがします。
田邊  この事業は学生のためにあるわけで、それを忘れがちだったかもしれません。工学というものは、ものづくりをきっかけにして、サイエンスをやることだと 私は思うんですけど、学生自身がどれだけサイエンスに目覚めたかというのは十分に評価できていません。そこらへんを学生がどう思っているのか、 ちょっと見えにくいのが残念です。
丸山  学生は次から次へと変わるので、その仕組みがなかなか継続的に残らない。サークル活動みたいなものだったら先輩から後輩へある程度 伝わって残るんだろうけど、それが残っていかないというところがこの仕組みの欠点かもしれませんね。
茂地  hiddenカリキュラムというのがありましたね。見えないカリキュラム。我々が感知しなくても、学生が「あれはやったら面白いよ」とか、 だんだんみんなでやろうよというような、学生がつくる伝統みたいなものが出てくるとよいですよね。
原田  これは時間がかかることだと思うんですよね。これにかかわる教員しかやっていない、その雰囲気はやはり学生にも伝わっていると思うんですよ。 先生方全体が、これは大事なんだという意識になれば、自然にそれは学生に伝わっていくのかなと思いますね。
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「まなぶ力」:リメディアル教育教材
丸山  アーカイブを作るということで、ビデオとかその周辺装置をいろいろ揃えて、これで実際にちょっと撮りましたけど、 自分の授業を見直すのに役立ったかなというぐらいで、それ以外にはあまり役に立たなかった。ウィキペディアのように、 皆さんに書き込んでもらって、だんだん出来上がっていくというようなものがよかったのかもしれません。 それから、あの人に聞けばいいんじゃないのというような、技術者の人材バンクのようなものをつくっておけば本当は良かったのかなと、 今となっては思います。
升方  富山大学では、定年退職された大学の先生と我々の若手教員とが一緒になって教科書を作っています。4月に発行します。 大学の教科書を読めない学生にとって教科書を読むこと自体が外国語を読むのと同じですから、それならば、 そういう学生が読むことができる教科書をつくりましょうというのが発想です。
原田  長崎大学では、元高校の校長先生をされていた先生がリメディアル教育のための微分積分学のテキストを作成されたので、我々の方で電子化し、 一応ビデオで撮って、それをいわゆるデジタルアーカイブという形に編集しました。つくってはみたのですが、その効果の検証まではまだですね。 でも、かなり改善をされてきていると思います。
茂地  ところで、工学力として意識した「まなぶ力」というのを具体的にどう表すかということが気になっています。
長谷川  学んで、つくって、わからなければ、さらに学んで成長していく。いわゆる、いくつかの大学で出しているような、 スパイラルアップというか、らせん型教育の話ですね。
茂地  まなぶ力の中身というのは、昔とそんなに変わっていないですよね。
長谷川  何か製品をつくる、形あるものをつくって、何か働きだとか動きだとか、そういうものを見せることを目的としなければいけない。 たとえば二足歩行ロボットをつくるということであれば、材料はどういうものがいいんだろう、それを動かすためには、何とかのソフトが、 授業で習った何とかソフト工学が役立つ。それを制御するときには、制御工学が役立つ。だから各授業の中のこういうところが、 実際に役に立つんだということを対応させて説明していくと、非常に効果が上がるんじゃないかと思いますね。
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工学力教育プログラムとセンターの役割 
升方  富山大学では、創造工学センターは平成16年3月に始動したのですが、はじめのうちはアイディア展や創造工学特別実習をプロモートしていたというのが正確だったかもしれません。 長谷川先生が一本釣りで集められたということもあり、運営委員会の先生達は非常に協力的でした。ただ創造工学センターのこれまでの成果と今後の方向というのは、 きちんと1回見直さないといけないような気がしています。
茂地  長崎大学の創造工学センターは平成15年の12月に看板を掲げました。GPそのものは工学部教育COE委員会が動かしていて、これは平成18年度までの時限で終わります。 GPの最終年度からそれ以降の活動に向けて、センターが実質的な活動を始めたのは平成18年4月です。まだ1年しかたっていません。 また、学生のための創造工房みたいなところが確保されるようになりましたので、学生から見ればそういう場が少しずつできてきました。それから、センターとなったことで、 皆さんの意識は少しは変わってきていると思います。
丸山  新潟大学では、平成16年3月でしたかね、つくったのは。ある部屋が空いて、それを使わせてもらうチャンスがあったので、看板もあげてスタートしました。 ただスタートのときまずかったかなと思うのは、センターの運営委員会が形式的になってしまい、実際センターのことを考えているのは、 センター長と、スタートのときに私が一本釣りした先生方が、抜けるに抜けられず・・・・・・、これが心配の種ではあります。 来年度からセンター長に田邊先生がなられるので、安心はしておりますが。強力な組織・運営体制を再構築し、 工学部担当教員が自分たちのものだという意識に向かうようにしてもらいたいと思います。
田邊  目に見える形で浸透させる、実質化を図るというのが次の大きな仕事ですかね。素地としては先生方にはそれぞれの思いがありますので、 その思いをここセンターで発揮してもらいたいですね。これまでの活動はそういう場づくりでした。次はこれを糧により実のある形にしていくことです。
升方  我々の取り組みには狙いがあるわけですけど、それが学科のカリキュラムの中でどう位置づけられていくのかをはっきりさせないと発展させるのは難しいだろうと思います。
丸山  成果をどう発信していくかということにも関連しています。エンジニアリングデザイン科目とどう結びついていくのか、暗中模索の状況だろうと思います。
長谷川  基礎科目があって、専門科目があって、それから4年生の卒業研究がある。それが今までの学部のカリキュラムでしたね。それが非常に太い柱であったわけですけれども、 それに我々が目的としている、ものづくりに関する体系的なカリキュラムを二本目の柱としてつくる。それは最初は細い柱かもしれないけれども、やっぱり2本柱ということでしょう。
茂地  そのプロトタイプをつくっていくのがセンターの役割の一つかもしれません。きちっとこれでいけるというものにして、ある時期に切り替えるということになるのでしょう。 ある意味、その先進導抗のようなことをやらねばならないということですかね。
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3大学連携の取り組み
丸山  企業ウィークは学生の評判がよかったですね。みんな一生懸命聞いていて、しかも講演後に直接技術者に質問したり、展示物を見たりしていました。
原田  やはり現実に手掛けた方が話されるのは、迫力が違うと思います。私も実は何回か見させていただいたんですが、普通の特別講義とは一風変わった良い企画ですね。
升方  我々は地元の技術者の人を呼んで話をしてもらうということを、ここ2年間やっています。興味を持ってくれますね。 実は、学生たちは地元にどういう会社があるのかというのを知らないんですよ。富山は割と製造業の多いケースですよね。 こんな会社もあったのかというような感じで聞いています。
丸山  高速ネットワークJGN2がきちんと使いこなせるようになったというのも良かったかなと思います。
茂地  長崎大学でもデジタルコンテンツをつくっていますが、そういうものをいずれ3大学が共有できるようにということなので、非常にいいことだと思いますね。
丸山  このJGN2があるおかげで、企業ウィークもオンラインで流せましたし、3大学協働ものづくりプロジェクトの合同卒業研究でも 一応曲がりなりにも打ち合わせができました。
茂地  3大学のネットワークができたということですね。
原田  これからは、それをそれぞれの大学の先生方に浸透させるということをやらないといけないですね。
丸山  確かに。我々も使わせてくれって話になっていかないといけないと思いますね。
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成果とその発信
丸山  この3大学の取り組みがなければ、富山大学ではものづくりを基礎とした工学力教育という線は出せなかったと思っております。 3大学一緒にやれたというシナジー効果は確かにありましたね。我々のこの四年間の成果が、3大学に限ったものではなく、ほかの大学でも 取り入れることができる、普遍性を持つことが非常に大事だと思います。そういう意味で、我々の成果をもっと発信して、多くの大学の工学部、 理工学部で取り入れて欲しいですね。
茂地  3大学の教員が工学力教育に本気でぶつかったということですね。ただそれが限定された範囲という条件つきではありますけど。 この本、製作費用6,500万。映画一本分つくれるわけですからね。それぐらいの重みがここに凝縮されているんですね。一冊1,800円で販売されていますが。 それが一つですね。それと、それぞれの大学の中で、工学力教育というものへの目覚めというか、その意識改革が始まりつつあるということじゃないでしょうかね。 我々だけでとても実現できないような案だったんですが、3大学連携の枠組みの中でやると中も変わっていくんですね。そういう一つのモデルになった。 我々のこの活動自体が、事づくりというんですかね。そういう成果は非常に大きいと思います。
丸山  意識が変わっていますよね。確実に。
丸山武男
                   新潟大学工学部 教授
田邊裕治
                   新潟大学工学部 教授
茂地 徹
                   長崎大学工学部 教授
原田哲夫
                   長崎大学工学部 教授
長谷川淳
                   富山大学工学部 客員教授
升方勝己
                   富山大学工学部 教授
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