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「技術連携プロジェクト」を語る-5年間の成果と今後の展望-
三位一体で行う“真剣勝負的”教育の場
原田   今年で最終年度を迎える「技術連携プロジェクト」ですが、これまでの成果を振り返り、 将来に向けてどういう活動につなげていくか総括したいと思います。
 この事業の目的として、大学と産業界、また大学と地域との技術連携のプロセスを真剣勝負的な 教育の場として捉え、それを学生教育に生かしたいしたいという想いが当初からありました。
大川   昨年の事業仕分けなどで、我々の工学や理系という分野に社会の関心が非常に高まっています。その中で、 我々が教育に絡めて進めている取り組みを、様々な手段を通じて多くの方に知ってもらうことはとても大事です。
田邊   キーワードは“三位一体”。学生、教職員、社会における企業・技術者・研究者が三位一体となって本物の製品開発 をするということです。そもそも大学でやっている研究は社会に還元してこそ意味がある。したがってこの三位一体で 行うのが普通と思いますが、そういう教育の場を改めて設けたというのが大事で、ぜひここで終わらせずに進めていきたい。
 また原点に立ち返って、ものづくりの楽しさや研究する楽しさを、伸ばしていければと思います。
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自分の技術がさらされる怖さを乗り越える
岡   私は三条市役所と一緒に「水をきれいにしようプロジェクト」を実施しました。超伝導マグネットを使って水から鉄をとろう という簡単な原理で、地域の中から学問を見つけようとしました。そうすると学生の意識が全然違うんです。授業を聞いている時は 私や研究テーマしか見ていないんですが、実際にごみ焼却場での実験では、学生は生きいきしているし、 ある意味では怖がってもいる。地域の人に自分たちの技術や能力が裸でさらされる怖さがあって、それを乗り越えなければならない。 だから学生も、私自身も緊張します。
 その結果として、学生がどのくらい育ったか、どう変わったかを測るのはとても難しいですが、それが大事かなと思います。
原田   初年度の2005年度からプロジェクトを実施している新田先生、いかがでしょうか。
新田   プロジェクト申請時に、100%の正解を最初から教えるのが工学部の普通の授業だとすると、世の中はそうじゃなくて、分からないことをもがきながら、 手探りしながら、勘と経験を積んで少しずつ正解に近づいていき、必ずしも満足ではなくても80%ぐらいの答えで先に進むという、特に企業では そういうやり方で進んでいることを学生に教えたいという意向がありました。
 私はレーザー加工装置を使って、五泉市の企業との共同研究を行いましたが、学生は3年生3〜5人ぐらいの少人数で実施しました。世の中は試行錯誤で 技術開発が進むということを、参加学生も感じ取ったと思います。意外だったのは、私と企業の方の何気ない普通の会話や社会的な会話を、学生が聞いて分からなかった ということ。緊張もあったと思いますが、改めて学生の社会経験の不足を感じました。しかし、プロジェクトに参加することで、少しでも学生の幅は広がったと思います。
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周りの協力を得て、輪を広げていく
原田   福祉系では林先生、いかがでしょうか。
林   私は実は産学連携以外の研究はしたことがないんです。必ず他大学、他学部や企業と協力してきました。先生と企業が話す言葉が分からないというのは、 学生が社会に対して経験が薄いからです。大学時代になるべく外との関係を増やして、責任を持たせて、何を勉強すべきかも自分で考えさせなければいけない。
 工学部はマスターの進学が多いので、3年間鍛えると大体は大丈夫という実感はあります。企業に出ても、他の人たちとコミュニケーションをとりながら、かつ自分の 能力を磨いて、10年後には一流のエンジニアになれるかなと思います。
 我々はこのプロジェクトで、障害者向けのスイッチを市販できるように開発しています。学生もやる気十分で、自分で企業にアポイントをとって出かけていき、 話をしてどんどん開発してくれる。もちろん最後の責任は私にあるから報告はちゃんとしろとだけ伝えます。そういう学生を大人にするプロセスを、今後工学部の中につくって、 大学の中で閉じずに社会を活用することで、我々は本来やるべきことにもっと集中できる。例えば論理的なものの考え方や哲学的な思考です。今回のプロジェクトはそんな 方向に向けた非常にいい第一歩だと思います。
原田   私は水素センサーの開発でしたが、個人的に取り組むと長続きしないのは分かっていたので、学科全体でどう取り組むかということから出発しました。 電気系や化学系の先生からも協力を得て、とにかく輪を広げていくことに力を注ぎました。
 また私自身の経験もあって、上の学生が下の学生の面倒を見ながら一緒にボトムアップしていく仕組みをつくりたくて、大学院の教育改革の中で、 学部のものづくり教育に準リーダーのような形で大学院生を授業の一環として組み込みました。教員はあくまで外にいて、学生だけで話をさせながら 作っていくところがものづくり教育の新しい視点になると思います。
 その成果として、上野の国立科学博物館で12月に開かれた「大学サイエンスフェスタ」で、“燃料電池キャリアカー”を披露しました。学生達は非常に 苦労したんですがちゃんと動きました。最後まで自分でやらなければという思いが出てくると、一皮も二皮も剥けて成長できる。それが今回のものづくり教育の 一番大きな魅力だと感じます。
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先生の熱さが学生を集めた発表会
原田   今回、一番最後の大きなイベントとして、プロジェクトの成果発表会を企画したわけですが、この経緯を田邊先生から説明願います。
田邊   なるべく多くの学生に参加してほしい、それで各先生方が進めている研究の中身、その魅力を最大限に学生に呼びかけました。 やはり先生が熱く語れば必ず応えてくれます。先生方が、難しいことなんだけど楽しくやっているという雰囲気が大事です。 結局ふたを開けたらすごい人数が集まったので、学生の関心の高さを感じました。
原田  1年生向けの企画で、今回は350人近い、工学部全体の約70%の学生が参加してくれましたので、その意味では大成功でした。 しかもアンケートの結果では、「大変役に立った」「次回またこういう企画に参加したい」という人が80〜90%いました。
 やはり1年生は、将来の自分を見たいという意欲が非常に強く、まだまだ伸びていけるかなと感じます。
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プロジェクトの成果と今後
原田   今回のプロジェクトの成果と今後の発展について構想をお聞きします。
田邊   工学部は非常にシステマティックで、1年生から4年生まで体系化されています。それを取り払って、1年生でも頑張れば4年生と同じことが自由に勉強できるという 機会を用意する。完成度の高い教育の中の吹き抜けのように。それが、センターで現在検討しているスマートドミトリー構想で、技術連携プログラムの発展形と 考えています。1年生には確かにハードルが高いかもしれませんが、その自由さを上級生が教え、先生は遠くから見ているという場が機能するといいですね。
大川   プロジェクトの継続性には社会との接点を学部教育の中に組み込んでおくことが大事です。発表会を聞いた学生が「自分の専門のところはそこそこ理解できた。 こちらは内容がよく分からないけれど、きっと面白いんだろうな」という意識さえ出てくれれば、僕は大成功だと思う。
田邊   ありがとうございました。非常に前向きな意見の学生が多いので、この火を消さないように、次年度以降もぜひよろしくお願いします。
大川秀雄
                   建設学科

工学部長
田邊裕治
                   機械システム工学科

附属工学力教育センター長
原田修治
                   機能材料工学科

附属工学力教育センター 副センター長
新田 勇
                   機械システム工学科
林 豊彦
                   福祉人間工学科
岡 徹雄
                   附属工学力教育センター
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