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次の10年の、工学教育をいかに良くするか
田邊   今回このような場所を設けさせて頂いたのは、100人力ネットワークの皆さんと 学生さんが意見を言い合う場が少ないという理由からです。今回は、創造プロジェクト、マーケット・インターンシップ、 テクノロジー・インターンシップを受講した学生さんに集まってもらいました。教職員の皆さんはオブザーバーということで、 後ろのほうに座って頂きました。
 最初に趣旨説明をさせて頂きます。今まで新潟大学工学部が行ってきた創造プロジェクト、マーケット・インターンシップ、 テクノロジー・インターンシップで学生さんが学んだこと、そして100人力ネットワークの皆さんが学生に求めることを語って 頂きたいと思っています。
 さらに言いますと、「工学」は解のない問題の中で、いかに最適な解を求めるかの学問です。これを学生に身に付けさせる というのが工学部の役割のように思います。最近ではここに、国際化、コミュニケーション力というキーワードが入ってくるかと 思いますが、この部分について双方からのご意見を頂きたいと思っています。
 大きく言うと「次の10年の工学教育をいかに良くするか」ということだと思います。今回で結論を出そうなんて考えてはいませんが、 ここの部分の提言を頂ければと思っています。

司会   それではまず、100人力ネットワークの皆さんから、「工学教育を良くするためには」という観点で学生のほうに質問して頂きたいと思います。
100人力A   この数年間、100人力ネットワークとして学生さんに色々な形で関わらせてもらいました。その中で、これは役に立ったとか、もう少しこうしてくれたらな、 とかいった意見があれば率直にお聞きしたいのですが。
学生A   私は「味覚センサ」という、最近開発されたセンサをマーケット・インターンシップの枠組みの中で調べていたのですが、そのときにメーカーの社長さん を紹介して頂きました。
学生B   私もマーケット・インターンシップを受講したのですが、そのときにいくつかの訪問企業を紹介して頂きました。普段の講義では学べない実際の苦労とか、業務内容を 教えていただいてとても新鮮でした。そして進路選択にも役に立ちました。
学生C   私は創造プロジェクトを数年間受講しています。この数年間に100人力ネットワークの皆さんとお話しする機会が「キャリアデザイン・ワークショップ」という形で 数回ありました。最初は年上の方とお話しする際にとても緊張したのですが、こうして何回かお話している内に抵抗を覚えなくなりました。なので、このような機会を 学生が経験すること自体がまずいいことなのかな、と思います。
学生D   私も創造プロジェクトを受講していました。そのときは「電動4輪車」というものを作りました。ぜんぜん研究とかではないので、企業の方から見ればつまらない内容だったのかな と思ったんですが、その後の「キャリアデザイン・ワークショップ」では真摯に話を聞いてくださいました。そのときに学生では考えが及ばないようなことを色々教えて頂きました。
司会   ありがとうございました。
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周りを巻き込む:学生のやる気
司会   それでは学生さんのほうから、100人力ネットワークの皆さんに質問はありませんか?
学生A   私の所属している学科では、実験レポートに自分の考察を書くところがあります。私は自分の考えで、その考察の部分を書きます。 しかし、周りのやる気のない人達は、友人のを写したりインターネットの情報をコピー&ペーストしたりしています。私はそのような 行為が非常に嫌いですが、このようなモチベーションの低い学生を、100人力ネットワークの方はどのように思いますか?
100人力B   昔は大学に入学してくる学生さんの学力レベルがほぼ一緒でした。今は2極化していると思います。2極化している学生のトップを見て教えるか、 真ん中ぐらいで教えるか、それとも底のレベルに合わせて教えるか。それは大学のスタンスによって大きく変わってくると思います。企業では 90点とって喜んでいるようでは駄目なんです。後の10点を理解しないで製品を作ったら、品質100%の製品になりません。そんな製品は売れないわけです。 そうしたら企業は潰れてしまいます。だから私が学生さんに言いたいのは、残りの10点も理解してくださいということです。90点で満足しては 決していけない。
100人力C   人間ですから、何かに対するやる気はあると思うんですよね。その「やる気を出さない」ということはどういうことなんですか?
学生A   例えば私は、マーケット・インターンシップで学んだことを東北大学で行われた学会で発表してきました。そういうことを周りの友人に 言うんですけど、「ああ、よかったね。」というだけで全く興味を示さないというか・・・。
学生C   私たちのチームは車を作っているわけなんですが、車好きの人、仲間と一緒に何か作りたい人が集まりますので、"学生A"さんの 言ったようなことはあまりないですね。それでも一人ひとりのモチベーションに差はありますが。
学生E   私は"学生C"さんと一緒に、フォーミュラの活動をしているわけですが、本当のことを言うと車には全く興味はありません。ただ興味があるものがないので、 大学に来て思い切って今までやったことのないような活動をしてみたい、そう思ってフォーミュラを選んでいます。 実際に今も、何に興味があるんだろうというのはすごい悩んでいるところではあります。
100人力D   今の話を伺って、「ああ、そうか」と思ったんですが、今回発表のあった学生フォーミュラチームの報告書を見せて頂いたときに、中には役割がすごく多くあったんです。 コアの「物を作る部分」だけではなくて、その他に非常に多くの役割がありましたよね。そうすると、ある分野についての力を持った人だけでは駄目なんではないでしょうか。 だから今のお話のように「何をやろうかな」と思って、それが例え分からなくても、色々な役割がある中で、その中から一つ興味を持つものを発見したら、ちゃんとできると思うんです。
 会社の仕事も同様で、一つの製品を作るためにはたった一つの技術でできるわけではないんです。ものすごく多くの技術を集めて一つの製品ができるわけで、その役割はみんな分担して 作るんですね。そういう役割分担をうまくやれば、だんだん興味を持ってもらえるんではないかという気がします。先ほどの学生3人のお話を伺うと、どうもそういうことをうまくやっいけば いいんだろうなという気がしました。
司会   ありがとうございました。それでは少し、「やる気とやりたいこと」について学生に聞いてみたいと思います。
学生F   ロボコンのチームリーダーをさせていただいております。モチベーションややる気に関してチーム内の話をすると、やりたいことがはっきりしているメンバーが多いので、活動に 対するモチベーションは全体的に高いかと思います。人それぞれに、「ロボコンをやりたい」「自分の知識をつけて力をつけたい」「知識を生かして勉強ができるようになりたい」 という思いの違いはありますが、目指しているものが同じなのでチームとしてまとまっている、と思います。
学生G   私がロボコンチームに参加しようと思ったきっかけは、中高一貫の工業高校時代に、あまり積極的に学校の勉強以外のことをしてこなかったという後悔があるからです。 高校を卒業したのに何もつくることができませんでした。大学も、このまま普通の勉強をこなすだけでは何か作れたりしないのではないかと思い、 ロボコンを通して色々なものづくりを学んだりしていきたいと思い参加しました。
 このプロジェクトを通じて「何か作りたい」「何か知りたい」と思った時に、自分で本を読んだり先輩に聞いたりしながら勉強すれば、自然と身につくものだということが分かりました。 学部の勉強も「ロボコンのこの部分に、こういうふうに使えるな」ということが分かってきて、どんどん講義が楽しくなっていきました。モチベーションも高くなっていくと思います。
学生H   自分が創造プロジェクトに参加したきっかけは、いままで1年間基礎の勉強をいたしましたが、これが将来何につながるのかなと考えたことからです。そこで自分から積極的に他の学年、学科横断の プロジェクトに参加しようと思いました。
司会   ありがとうございました。
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聞き、学ぶ
100人力E   やる気という話の他に、コミュニケーション力というキーワードも出てきました。その中で、人の話を聞くことが大事ということがありました。しかし、その前に相手が話してくれないと 聞くことも出来ない。私はそういう「聞く」仕事を会社で長年してきました。相手に話してもらうためには、まず話のきっかけをどこかに作らなければいけない。ということは相手の琴線に 気を向けるということですね。その琴線を探すことが大事なんです。それができるかどうかが最終的にコミュニケーション能力があるということなんでしょう。前置きが長くなりましたが、 そういう「相手の興味はどこなんだろう」と探す訓練を少しされたほうがいいのかなという感じがいたします。
田邊   私の研究室の話ですが、下級生が上級生とコミュニケーションがとれないというのがありますがいかがでしょうか?
学生D   私は今、修士課程在学中です。私の研究室はバイオメカニクスを研究しているのですが、試験機を用いての生体材料の強度評価などを行います。材料力学などに興味があり 今の研究室を選びました。しかし下級生の中には研究室を選ぶ基準が全く異なっている人がいて、「ただなんとなく進学した」という人もいるし、「他の研究室の定員がいっぱい だったから仕方なく来た」という人もいます。でも内容は企業との共同研究が主なので、やらなければいけないことは沢山ある。なんとか興味を持ってもらおうと促しては いるんですけど、なかなかうまくは行きません。しかし人によって違いはあるかもしれませんが、2年間も研究を続けていれば、何かしらに興味を持つだろうと楽観的に考えています。 私は先輩ですが、私自身も勉強しなければならないので、「教える」ということに関してはあまり考えてはいません。
 コミュニケーションについてですが、研究室の中で下級生が上級生に話しづらいという状況は、無くならないと思います。しかしそういう状況の中で、自分で何が学べるかということを 考えて欲しいと思います。うまく説明できませんが、それが新たなコミュニケーションに繋がると思っています。
司会   何かやりたいことや、やらなければならないことがあると、コミュニケーションを取らざるを得ないので、それをきっかけにして欲しいということですね。他にいかがでしょうか。
学生A   先ほど伺ったお話は、「相手の話を聞き、相手の興味のある部分を見つけ出す」ということだったと思います。私は、相手の話を聞いて相手の興味のある所を見つけるのと、自分の興味がある世界に引き込む というのは明らかに一段階レベルが違うと思います。私としては、相手を引き込むために、興味のある自分の思いや体験を表現するのが重要だと思います。ここで質問なんですが、100人力ネットワークの方々は 興味のない人をいかに引き込むのでしょうか。
100人力E   簡単に言うと、相手の興味と自分の興味の共通点を探すことが一番大切です。例えば車一つをとっても、タイヤや電子系など、色々あると思います。「この人はこの部分になら興味があるな」というのを見つけて いくことが特に大切じゃないかと思います。
学生A   自分も能動的に動いていないと駄目ということですね。
100人力E   そういうことです。そういうふうにすると真剣さも違うということです。
100人力F   会話というのは色々な知識を持っていないとできない。自分の興味の中でいくら話したって、相手が興味がなければ会話は成り立たない。どこか共通項を探す中で、例えそれが上っ面であっても会話はできるし、もしなければ 孤軍奮闘になってしまう。なので共通項をいかにして探すか、自分の中の知識をどれだけ持つかというのはとても大きいことなんです。
司会   ありがとうございます。他にいかがですか。
100人力G   挨拶ができる研究室、学校はコミュニケーション力が素晴らしいように感じます。挨拶はお互いを尊重して理解する相互理解ですから。相手に入り込む受容の精神があるからだと思います。
100人力H   先ほどのレポートの話に戻ってしまうのですが、人にレポートを写させるときでも考えさせながら写させると、間違いを指摘してもらえたり出来るんです。こういう意味でお互い高めあえる部分があるので、 私はレポートを一緒にやるのは否定していません。さらに言うと、「一緒にやろう」といっても興味を示さない人、こういう人たちがいたとしても絶対否定はしないほうがいい。その人はその人なりに 考えがあるはずなんです。こういう人もいるんだなぁと自分の中で納得してください。社会に出ても色々な人がいますので、その人たちと上手くやっていく練習だと思ってもらえればいいと思います。 あまり他の人がどうかということを意識しすぎないで、自分をどんどん高めていくというような気持ちで勉強していってもらうと、自分のプラスになるのではないでしょうか。
100人力H   我々が若い時もそうでしたけれども、大学の学生の足りないことというのは、実際の企業現場をほとんど知らなかったということです。今になって初めてわかることですが、中小企業でも今後残っていってほしい企業の経営者のお話を聞くと、 すごく感動してモチベーションが上がります。新潟県内でも大企業でなくてもすばらしい経営者がいますので、そういう経営者の話を聞く機会を増やすと、学生さんのモチベーションが上がるのでは ないでしょうか。インターンシップに行かれた方もいらっしゃると思いますが、1ヵ月間もすると情もできるし、経営者側の考えもわかるので、インターンシップというのは理想的だと思います。しかし中小企業となると なかなか受け入れができないので、例えば中小企業の社長の秘書を3日間させてもらうのはどうでしょうか。ある程度社長の仕事や、この会社はどうだと分かるようになると思います。経営者の話をきっちり聞くという 機会が増えると、学生さんが何を勉強しなければならないのか分かってくると思います。
司会   ありがとうございます。もう時間がほぼ過ぎかけておりまして、100人力ネットワークの皆様と学生の討論会というのはこの程度でおしまいにさせて頂こうと思います。
田邊   皆さん少ない時間でしたけれども、どうもありがとうございました。非常に時間が短くて残念な思いもあります。特に教職員には今日は黙っていてくださいというお願いをしてしまいました。 100人力ネットワークの方の要望にありましたように、教職員と100人力ネットワークの方の対談というご要望もございますので、次回はそれを実現したいと思っております。
 ということで非常に短い時間の中でしたが、非常に活発な討論会、意見交換会、本当にありがとうございました。
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